腹式呼吸の習得
特に練習などしなくとも実践できる人は多い。ただし、腹式呼吸にて溜めた息を声と共に流すことを念頭に習得する必要がある。いくら腹式呼吸ができたとしても、「歌」に応用できなければ意味がない。
上手くいかない場合、意識的な身体動作に対する不慣れや、難しく考えすぎているなどの理由が挙げられる。
また、特に初心者が腹式呼吸をするとき胸郭の動きは胸式呼吸に対して逆になる。普段の呼吸は胸の部分が膨らむが、腹式呼吸ではおなか周りが膨らむ、と考えればよい。
腹筋で吐いたり、吸ったりすることは出来るが、横隔膜で吸えない(お腹を膨らませられない)という状況がよく起こりえる。
腹式呼吸において大切なのは、腹筋ではなく「インナーマッスル」を鍛えることである。
お腹周りに息を溜めるという発想から、安易に腹筋を鍛えると良い、と発想する人が多いが、腹筋運動と呼吸とでは筋肉を使う場所が異なることが多く、歌唱・発声の訓練としてもあまり実践的とはいえない。
腹式呼吸が全く出来ないという場合は根本的に身体運動の経験が不足していることが多いので、インナーマッスル運動に限らず腕立て伏せや懸垂、スクワットなどのエクササイズを行うことが呼吸法の習得に繋がることがある(歌は体を使うため、基礎体力は必ず必要になる)。また歌唱・発声訓練においては、声門閉鎖や喉頭懸垂の働きを促すために、特に上肢のエクササイズが有効である。ただし、いずれの場合も筋力を増すことに捉われる必要はない。インナーマッスルを意識することが大切。
インナーマッスルの鍛え方
エクササイズにて「ピラテス」を受けたことのある方なら実感できると思うが、体の内側の筋肉を鍛えることである。腹式呼吸を連続して行なったり、短い息をお腹周りを使って吸ったあり、吐いたりと行なうことで、徐々に鍛えることができる。
「歌上達」への道のりは、スポーツと同じで、「歌える体」を作ることが大切である。日々の地道なトレーニング必ず、上達という実感で帰ってくる。